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PC-9801BX改造


 日本市場におけるガリバー的存在だったPC-98シリーズだが、PC-DOS/V及びWindowsの出現によりその市場をPC/AT互換機勢に浸食され始めた。そのPC/AT互換機群に対抗すべくリニューアルしたラインアップが、98MATEと98FELLOWというシリーズである。

 このページでは、その初代98FELLOWであるPC-9801BXを改造してみる。


 まずは、改造箇所の確認。

 見えているのはODP(487用ソケット)なのだが、CPUはこの左側にSQFPパッケージのi486SX/20MHzがはんだ付けされている。

CPU周辺

 クロックオシレータの部分を拡大したのが下の写真。19.6608MHzというのがシステムクロックなのだが、このPC-9801BXという機種はクロックを分周せずにCPUにつっこんでいるらしい。もちろん、バッファは経由しているのだが、なかなかにローコストな設計である(笑)。前期型では分周(1/2)しているらしいので、途中で設計変更があったのだろう。

クロックオシレータ

 ということで、とりあえずサクっとオシレータを除去してソケット化してみる。

 ソケット化

 これで、8pinDIPタイプのオシレータの差し替えが可能になった。
 ここまでやったところで、オシレータを25MHzのものに替えて起動させてみると見事に起動した、が…。

 キーボード入力が効かない。そういえば、起動時のピポ音がおかしかったぞ。これはシステムクロックが同期タイプだったってことか!

 ということで、今更のごとくCPUクロックとシステムクロックを分離しなければいけないことに気がつき昔の資料をあさってみると、確かに載ってましたよ改造方法が。
 実は、取り外した側のオシレータは外さなくて良かったんですな。CPU用のクロックは7Cの空きランド側に取り付ければいいようだ。

ソケット化2

 んなわけで、再度作業を開始。今度は、7Cランドにソケットを装着。稼働確認用に手持ちの同クロックのものを刺しておくことにする。

改造後の様子

 続いて、CPUクロックのライン切り替え作業を行う。
基板裏

 基板を裏返し、「6D1」というシルク印刷のあるランドを探す。場所は、オシレータ装着箇所のすぐそばである。拡大したのが下の写真。

ジャンパ部分

 緑色のチップ抵抗が「000」という抵抗値0Ωのジャンパ抵抗である。これを取り外し、隣の「5D2」に取り付ける。これにより、CPUクロックが7Cランドのオシレータからの信号に切り替わるのだ。

ジャンパ部分拡大

 これで作業は完了。あとは、動作確認をするのみである。

 今回は、クロックアップ用に特別仕様に設定。マザーボードにつながっているのは電源・キーボード・HDDのみということで、FDD・Cバスは接続しないことにした。これにより、低速デバイスの影響を排除しようという考え。っていうか、単に周辺デバイスを外しただけなんだけど。

 まずは、同クロック(CPU/20MHz)での動作では正常に起動することを確認。続いて25MHzにアップしての動作も問題なし。33MHzまで上げても良好であった。さすがに、40MHzでは動作せず。ネット上での他の事例を見ても、だいたい33MHzまでというのが多いようなので、電源等無調整の場合には、33MHz〜36MHzの間くらいに限界があるようだ。

 さて、ここからが今回確認したかったことなのだが、果たしてこの限界はCPUのせいなのか、それともその他の要因のせいなのか?
 それを確かめるべく、ODP75MHzを装着。このODP自体は別マシンで33MHz(動作周波数100MHz)で動くことを確認済みのものである。このPC-9801BXでは、コプロソケットにODPを載せた場合、自動的に元のCPUは動作しなくなると想定される(ODP装着時、元のCPUは発熱がない)ので、これによってCPUの限界を突破してみようというのである。

 まずは、33MHzで問題なく動くことを確認。続いて40MHzに上げてみると、なぜかあっさりと動いてしまった。HDDからDOSを立ち上げPFM486でクロックを計測したところ、見事に120MHz動作を達成!っていうか、このODP75はなぜ120MHzで動くんだ?(笑)。
 そうそう、さすがに50MHz×3倍=150MHzでは動かなかった。そりゃ無理だよなぁ。

 そんなわけで、PC-9801BXのポテンシャルの高さを再認識した次第。あらためてFDD等を接続して組み直し動作確認を行ってみたが、33MHzで安定動作した。内部増設メモリも、80nsのチップだったりするけど問題なし。DOS用であれば十分使用可能なマシンだと初めて知ったぞ。あとは、ファイルベイさえついていればなぁ…。


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