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PC-9821Ae改造


 知り合いのところから中古のPC-9821Ae/U2が流れてきたので、久しぶりにPC-98シリーズの改造に取り組むことにした。
 すでに、PC-9821Ld/350Aが逝ってからかなりたち、486ベースのPC/AT互換機を引退させてからですらおよそ1年半が経過。「今さら」という気もしないではないが、486関係は資料も充実していることでもあり、当時のことを思い出しながら作業してみることにした。

 なお、今回対象にしたPC-9821Ae/U2の主なスペックは、CPU:i486SX/25MHz、メモリ:1.6MB(最大14.6MB:ユーザーエリア)、ビデオ:640×480サポート、HDD:なし、FDD:3.5inch×2、ファイルスロット1基搭載、ローカルバス2基搭載といったところである。

 さて、まずは当然のことながらクロックアップから。

 Ae/As/ApのCPUクロック(当時はFSBという概念はなかった)は、CPUを載せたドーターボード上にあるクロックオシレータで作られている。

CPUボード

 ドーターボード上には、PQFP168pinのi486SX-25が載っている。後に主流となるSQFP208PinパッケージのSL Enhancedではないので、まさに初期のi486SXである。CPUの右側にはODP用Socket1(通称「ブルーソケット」)が装備されている。クロックオシレータは、そのODPソケットの左上にある銀色の楕円形のものである。

クロック部拡大図  拡大したのがこの写真。
 右側の頭が黒くなっているのがCPUクロックを生成しているモジュールで、6足の表面実装タイプがはんだづけされている。

 こいつを、はんだごてをうまく使いながら外してやり、汎用性を高めるために8pinの丸ピンICソケットを代わりに取り付けることにする。ちなみに、頭の黒い側がVcc(+5V)、真ん中がGND、お尻がクロック出力となっている。3本のパターンが走っていて左のモジュールとショートしているように見えるが、これはガードパターンなので気にしないように。
 3本足モジュールのデータ例を別途記載しているので、参考までにどうぞ。

CPUボード改造後

 ICソケットを取り付けた様子だが、この時にICソケットにちょっと工夫をしておくと、3pinモジュールでもDIP8pinタイプのモジュールでも取り付けることができるので、よく差し替えをするという人は配線をしておくといいかもしれない。
 ここにとりあえず、手持ちの32MHzのモジュールを取り付けてみたところ、無事に起動した。i486SXは比較的クロックアップに強いので、放熱をうまくしてやれば33MHzで動作する可能性は高いだろう。
 また、CMOS出力でなくTTL出力のモジュールでも動作するようだ。

 クロックアップの次に行った改造が、内蔵CD-ROMドライブの取付である。

 PC-9821Ae/As/Apには
、PC-9801FAから採用されたファイルスロットが装備されている。これは、オプションで提供されるCD-ROMドライブやMOドライブ、FDDなどを簡単に増設することができるというもので、当時は画期的なことであった。
 ここに増設できる機器は、SCSI・IDEなどのドライブなのだが、問題はIDEはE-IDE非対応なのでCD-ROM等はつけることができない。一方SCSIの方は、背面にあるSCSI専用スロットにSCSIボードを搭載しないと機器が動作しないのである。

 いまさら専用ボードを購入したり、ファイルスロット専用ドライブなどを購入するのも無駄なので、無理矢理手持ちのCD-ROMをファイルスロットに搭載し、HDDもより高速なSCSI接続に変更しまうことにした。

正面

 ファイルスロット自体は、フロントパネルについている樹脂パネルと、内部フレームについている金属パネルを外せば、対応機器を簡単に取り付けられるようになっているのだが、問題は5インチベイ用の機器よりも一回り小さい特殊なサイズの機器しかつけることができないということである。
 今回取り付けようと考えたのは、普通の5インチベイに取り付ける2インチ厚のCD-ROMドライブなので、そのままでは取り付けることができない。そこで、フロントパネルはカッター及びヤスリで間口を拡げ、内部も電動ドリル・ニッパ・ヤスリを使って、フレームを切ったり削ったりして無理矢理押し込んである。

 フロント部を拡大するとこんな感じ。

ファイルスロット拡大

 本当は、もうちょっとフロントパネルを削ってやるとキレイになるのだが、これ以上はうまく削れそうもないので、少し浮いたようになっている。

内部の様子

 内部はこんな感じで、SCSIケーブルと電源分岐ケーブルを引き回している。
 SCSIケーブルは、IDE HDD用金属ケースの隙間から引き出しており、そのHDDケース内部で終端させている。引き出したケーブルは、CD-ROMを通った後、SCSIカード専用スロットを経由して、CバスのSCSIボードへとつながっている。
 電源も同じくHDD内部から分岐させて引き出していて、HDDケースとカードエッジコネクタとの隙間からケーブルを取り出している。さらに、そこから分岐させてCD-ROMに電源を供給し、さらにもう1分岐させてODPソケット近傍に取り付けた空冷ファンへ、もう一方はCPUへ供給する3.45Vを発生させる回路へとつながっている。

 ちなみに、この写真ではODPソケットに別途作成(Socket1用CPU搭載ゲタの製作)したCPUゲタを載せ、Am5x86を搭載している。このため、電圧降下用のユニットを搭載しているわけだ。

メイン基板

 この写真は、内部フレーム・CPUドーターボード・拡張スロット・電源を取り外した様子である。ドーターボードが2枚載っており、左上(拡張スロット下にあたる)のボードが86互換音源ボード、右上(電源下にあたる)が不明なロジックボードとなっている。このロットは比較的初期のものらしく、マザーボード・音源ボード共にジャンパ線がいくつかとんでいる。

サウンド部分

 86互換サウンドボードの様子だが、使われているチップは意外にもまっとうな(失礼!)ものであった。D/AコンバータはSANYOのLC7883Mで、8fsオーバーサンプリングデジタルフィルタを搭載している。A/Dコンバータにはバーブラウンのものが使われている。
 この互換ボードは86音源のすべてを持っているわけではなく、ADPCM関係のメモリを省いているため、その機能は実現されていない。A-MATEが全盛を極めていた時代には、この互換ボードにメモリをはんだづけしてADPCM機能を実現させ、完全86互換とするキットなんていうのも売られていたのであった。

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