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メルコ製80286搭載PC-98用
CPUアクセラレータHRX-12T改造


 メルコ製のPC-9801RX/DX等に対応した、3倍速CPUアクセラレータHRX-12Tを4倍速化する改造です。
 確認しているのは初期のロットですので、もしかしたら後期ロットなどでは改造不可能の場合などもあるかもしれませんが御了承下さい。
 なお、4倍速化した場合熱暴走しやすくなるので、強制空冷を行うなど放熱能力を改善するようにして下さい。また、クロックアップしている場合には特に動作不良になる可能性が高いのでご注意下さい。

 まずは、全体の様子です。左側がCx486DLC/40MHzで、右側のFasMathと記されているのが、数値演算コプロセッサ(NDP,FPU)です。
 このCPU自体は、テキサスインスツルメンツ製造のものですが、中味はCx486DLCと全く同一です。このCx486は、もともと数値演算プロセッサを製造してきたサイリックスらしく、ハードウェア乗算回路を内蔵しているため、i486よりも整数演算が速いという特徴があったりします。

HRX-12T全景

 さて、改造ポイントは、FPUの右側にあります。基板の上に「CLK ×3 ×4」とシルク印刷されているので、わかりやすいことこの上ないです。誰が見たってここが改造ポイントであるとわかるってもんです。

改造ポイント拡大図

 右側にある「TR1」と印されているPAL(PALCE16V8H 正方形) の9番ピンが、0オームのチップ抵抗(JP1)でGNDにジャンパーされています。シルク印刷のとおり、この標準状態で3倍速動作です。4倍速動作させるためには、このPALの9Pinをプルアップしてやればいいわけです。
 プルアップするためには、このJP1を取り外し、隣のR1の空きランド(×4と表示のある方)にプルアップ用の抵抗を取り付けます。抵抗の値は、1k〜3k程度の適当な値で問題ないと思います。私は2.2kを使用しています。
 JP1についている0オームの抵抗は、無理に取り外さなくても大丈夫です。空きランドとの間でパターンカットすれば同じことですので。

 実際の改造に当たっては、スイッチで切り替えられるようにしておくと便利でしょう。

改造の様子

 これで4倍速動作が可能になります。PC-9801RX21では、10MHz/12MHzとも正常に動作しました。ただし、本体側でクロックアップしていると、キャッシュをONにした場合一部の動作が不良になります。私のマシンでは、FDDを認識しなくなるという現象が出ました。根本的な解決方法はクロックアップをやめるしかないのですが、それではつまらないので、HSBというソフトを使用することにより障害を回避しています。

 さて、4倍速動作させる場合には放熱が重要になります。標準の状態で使う分には、CPUは37.5MHz程度で動作するため、定格よりも低く放熱に余裕がありますが、4倍速時には50MHzで動作するため、完全に定格オーバーです。何らかの放熱対策をとらないと確実に暴走します

 放熱対策はCPUクーラーの取付となるわけですが、できるだけ大きめの放熱器を取り付けるようにしてください。かなり熱くなりますので、小さいものでは熱容量が不足します。
 あと、忘れてはならないのがFPUの放熱です。FPUは比較的熱に強いのですが、いかんせんかなりのオーバークロック動作を強いていますので、最低限放熱器だけは取り付けてください。ファンをつける必要はないと思います。

HRX12T on board

 実装の様子です。放熱器をCPU、FPUともに貼り付け、CPUの放熱器上に空冷ファンを搭載しています。ファンの電源はFDD後ろの内蔵用HDDの電源コネクタからとるのが楽です。ここには5Vと12Vが出ていますので、都合のいい方を使用します。

電源コネクタ部分

 ここで使われているコネクタは、昔は市販されていたので容易に入手できたのですが、現在ではどうなんでしょう?コネクタが入手できなければ、FDDの電源ケーブルから分岐するといった方法を考えて下さい。

実装全体図

 CPUボードを取り付けたところの様子です。大きめのファンを使っているため、ファンの周りのスペースに余裕が無くなっています。これは悪い例ですね(^^;)。もうちょっと薄くて小型かつ高回転のファンにする必要があります。

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