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STEADY 第1回


※注 小説と名前の付いているとおり、実在の人物・組織・名称等とは一切関係ありません(爆)。たとえ、ある人物の顔が思い浮かぼうが、当局はいっさい関知しませんのでよろしくお願いします。
 なお、本文・あとがきについては、明らかな誤字・脱字でない限り作者の書いたとおりそのまま掲載しています。
 では、お楽しみください。


□□□ プロローグ □□□

「ニュース11、今晩はこの辺で…」
 松平の台詞にかぶるエンディングテーマとともにパンするカメラ。数秒後、モ
ニターの画面が次の番組に切り替わる。
「お疲れさまでしたぁ」
 フロアディレクターの声がスタジオに響きわたると、張り詰めた空気が一気に
弛むのが分かる。
「お疲れさま」
「お疲れさまです」
そんな言葉が、スタジオのそこここで飛び交う。緊張から緩和、この瞬間が純子
はたまらなく好きだった。
 今週も何とか無事に乗り切ったわ、そう思いながらフッと小さくひとつため息
をついた時、隣から
「久保君、お疲れ」
と声がした。
「あっ、お疲れさまです!」
少し慌てたように言葉を返し振り向くと、穏やかに微笑む松平の顔があった。
「この後反省会、どう?」
 TV画面で見せるそのままに、微妙に小首を傾げて松平が訊いてくる。金曜の
放送が終わった後、恒例ともなっている台詞だ。反省会といっても、会議室でス
タッフがしかめっ面をしてというものではなく、松平と純子の2人だけで適当な
店に入って忌憚のない意見を言い合う、ささやかな打ち上げのようなものなのだ
が。
「あ、はい、私は大丈夫です」
 純子もいつもと同じように返事をする。正直、週末の夜ともなれば他のアテも
いろいろとあるのだが、殆ど断った試しがない。まだまだ新人のレベルから抜け
きっていない純子にとって、アナウンサーとして大先輩である松平の話は身につ
くものばかりで、そうした話を聞くチャンスをみすみす逃すほど浅薄でもなかっ
たからだ。
 勿論、打ち上げのようなものとはいえ「反省会」である以上、松平の口から厳
しい言葉が続くこともあるし、時には”何もそこまで”と楽天的な純子でさえカ
チンとくることもあるが、あくまでソフトな語り口からは”この子を一人前のア
ナウンサーに育ててあげたい”という一種親心とでも言うべき気持ちが感じられ
る。純子もそれが分かっているからこそ毎週付き合うのだし、そのココロがとて
もありがたくもあった。
「それじゃあ、また後で」
 そう言い残してキャスター席を立った松平の後ろ姿を見やりながら、純子もス
タジオを離れることにした。それに、話だけじゃないしね−−−自然とほころぶ
口元を隠すように台本をかざしながら……。
                                <続く>


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あと(ぁ)がき
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という訳で、第1回です(笑) こんな感じでいかがでしょうか?
ま、別に高橋源一郎のように実験的手法を使うこともないので(爆)、ありがちな
会話、ありがちな展開、ありがちな文章を心がけました(笑)
最初は久保さんの一人称にしようかとも思ったけど、やめました(^^;
では、次回以降をお楽しみに(爆)


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