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Socket1用CPU搭載ゲタの製作


 CPUとしてi486SXを搭載しているシステムには、CPUのアップグレード用として「Over Drive Processor」(ODP)搭載用のSocketがついていることが多かった。特にi486SXは、当初168pinPGAと196pinPQFPで出荷されていたのものが、後に208pinSQFPパッケージが主力となり、基板直付けとなってしまったために、CPU自体を載せ替えてアップグレードを行うことができなくなってしまった。そのため、唯一のアップグレードパスがODPの搭載ということになったのである。

 今回、i486SX/25MHzを搭載したPC-9821Ae/U2が導入される予定となったことに伴い、i486SXODPソケット(Socket1)専用のゲタを作ってみることとした。なお、i486DX以降のシステムの場合にはほとんどがPGAソケットで実装されていると思うので、そのままリプレースするか、電圧変換ゲタを使用してアップグレードすることができる。
 基本的な作りは、i486DX4/Am5x86用ゲタと同じなので、まずはそちらを参照してほしい。今回は、搭載CPUをAm5x86固定とするため電圧変換部を12V→3.45Vという仕様で組むこととし、そのためゲタと電圧変換ユニットは別々に実装することとした。

 まずはゲタ本体についてだが、2つのソケットを重ねて使い、上側が3.45V供給・クロック設定を受け持ち、下側は動作に不要なピンの絶縁や486SXODP特有の設定を受け持つ部分とする。

上側ソケット

 これは上側部分のソケットの様子だが、コネクタを通して供給される3.45Vの+ラインとGNDラインを張り巡らし、CLKMUL設定用のスイッチ及びその配線、下側ゲタへの配線(FERR#)を配置している。FERR#は、浮動小数点計算時に使用されるピンで、i486SXにはない。

下側ソケット

 こちらは下側部分のソケット。i486SXを殺すためのMP#/UP#をGNDへ接続。これをつながないと、i486SXとこっちのCPUが衝突するため動作しない。上側ソケットで3.3V供給に使っているピンについては、下側ソケットではピンを抜いてある。その他、ODPソケットとCPUをつないではいけないピンについても同様の処理を行っている。

ソケット分解の図

 こんな感じで2つのゲタをつなぎ、重ね合わせてやる。

重ね合わせの図

 さて、続いて電圧変換ユニットの製作だ。回路図は以下のとおり。

回路図


 今回は別ユニットとして構成するということと、入出力電圧差がちょっとあるので、保護ダイオードを追加した。コンデンサは積層セラミックかタンタルを使用して、高周波特性を改善している。

電圧変換部

 実装に当たっては、PC-9821Aeに搭載することを考慮して小型化を目指し、放熱器と一体化した形で基板を取り付けている。
 四角形の青い部品はバーンズの多回転半固定抵抗で、電圧の微調整を可能とし、かつ経年変化を抑えている。その下の3つの丸いものがタンタルコンデンサで、ダイオード・セラミックコンデンサ・固定抵抗はチップ部品を使用している。

全体

 これが両ユニットを合わせた全体の様子である。電圧変換部と変換ソケット部とはコネクタを利用して結合し、取り付け時やメンテナンス時の作業性の向上を図っている。

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