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PC-9821As2改造


 初代PC-9821A-MATEシリーズ(Ae/As) に手を入れて、これでPC-98も家庭内LANに載ったことだしまぁいいかな…と思っていたところが、偶然にも中古のPC-9821As2/U8Wを発見!購入してしまったのであった。
 ということで、とうとう2代目A-MATEの改造に乗り出したのであった。といっても、基本は初代A-MATEと同じなので、やってることはそれほど変わらないのだが…。ちなみに、ここの画像で取り上げているのはAs2/U2モデルである。現在、うちで現役稼働中なのもAs2/U2がベースとなっている。

 まずは、基板の様子から。基本的な構造は初代A-MATEと同じである。

基板

 Asと異なっているのは、サウンド関連の配置がフロント寄りになっていることぐらいだろうか。メモリ関係がCPUドーターボードの周辺に集められ、ビデオ周りは拡張スロットの下に位置している。それでも、Asの基板と見比べてもらうとわかるのだが、集積度が上がってスッキリした部品配置になっていることが見て取れる。
 Windows3.1プリインストールモデルはS3の86C928を内蔵しているのだが、その場合は拡張スロット下にコネクタを介して、ドーターボードとして搭載されることになる。この写真はAs2/U2モデルのため、コネクタのパターンはあるが、コネクタはついていない。

 さて、クロック生成部がどこにあるかといえば、CPUドーターボードコネクタと増設メモリスロットとの間になる。初代A-MATEではCPUドーターボード上にクロックオシレータがついていたのが、メイン基板に移ったことになる。
 そこを拡大したのが次の写真。

クロック生成部1

 左側がCPUドーターボード用コネクタ、右側が増設メモリ用スロットである。京セラ製DIP8pinタイプで66.6667MHzのオシレータが使われている。こんなところにオシレータがついているので、クロックアップをするためには完全にバラして基板を取り出さなければならない。クロックアップするにはちょっと面倒になったわけだ。

クロック生成部2

 もともとついていたオシレータを外し、80MHzのものに替えた様子。パスコンとしてついているタンタルコンデンサが邪魔なので、DIP8pinのソケットをつけた上に、8pin→14pinの変換ソケットを載せ、その上にオシレータを載せるというゲタ2段方式となっている。このタンタルコンデンサは、例のバグ対策で取り付けられたものだと思われる。
 オシレータの下から隣のICにつながっている緑色のケーブルは、Vcc供給用。もとのオシレータを取り外すときに、スルーホールを抜いてしまうという初歩的なミスを犯してしまったため、そのリカバリである。
 ちょっと話は変わるが、右側に写っているNECのASICに注目してほしい。付けられている名前が、「オーガスタ」と「ペブルビーチ」。まぁ昔から知られている話ではあるけれど、ゴルフ好きな人が設計したんでしょうねぇ。まさか某ゲームってことはないだろうし(笑)

内部の様子

 改造後の内部の様子を上から見たところ。初代A-MATEに較べてCPUボードとフロントパネルとの間が広くあいている。だから、こっちの方が冷却はしやすいのだ。そこで、Asではファンをフロントパネルにつけていたのを、As2では放熱器に直付けとするように変更している。
 また、初代A-MATEに較べて2代目A-MATEの方がクロックアップ耐性は高いようだ。Asでは、40MHzにクロックアップして安定した動作を実現するには電圧のアップが不可欠であったが、As2ではクロックを変更するだけで問題なく動作している。放熱のしやすさと合わせて考えると、こっちのほうが改造向きといえる。
 ただし、セカンドキャッシュを積んでいる場合は要注意。クロックアップをした場合にはセカンドキャッシュで動作不安定になることが多いからだ。Ap2の場合はセカンドキャッシュが直付けで取り外せないため、クロックアップには不向きである。As2でクロックアップして、それに耐えられるセカンドキャッシュを積むというのが基本でしょう。

 ところで、こうやって内部を見るとごく普通でわからないと思うが、実のところFDD・HDD周辺部のフレームはAeから移植したものである。ほとんど構造が変わっていないからこそできる芸当だが、それだけ完成度が高かったと言えるのかも。でも、FDDの高さが微妙に合わないなどといった問題はあるんだけどね(無理矢理合わせてます)。ただ、フロントパネルの加工はAsよりもAs2の方がやりやすい気がする。ちょっとだけファイルスロットの入口が大きくなっている感じがするのだ。

 でも、PC-9801FAをバラしてみたら基本構造のルーツはFAにあったみたいですな。ドライブ周辺の内部フレームの原型が見受けられた。もちろん、A-MATEになってからの方がかなりシンプルで保守のしやすい構造になっているのだけれど。

FRONT VIEW

 As2を前から見たところ。CD-ROMドライブは、Asからフレームごと移植したものである。
 このCD-ROMドライブもやはり中古で入手したものであるが、NEC純正の6倍速ドライブである。NEC純正といっても、製品として販売していたのはNECホームエレクトロニクスなのだが、外付けドライブとして販売されていたもののドライブのみを引っこ抜いている。

 私の記憶が確かならば、このドライブはCD-ROMドライブの第1次高速化競争に際し、NECが示した一つの回答であったはずだ。その当時、倍速ドライブ(300KB/s)が標準的なドライブであった時代に、いくつかのメーカーが4倍速以上の高速ドライブ開発を進めていたが、あるメーカーはキャディを使用して安定したディスクの回転を追究することによって高速回転を実現し、あるメーカーではトレイ式のままサーボ技術の向上によって高速回転を実現させるという、おおむね2通りの路線があった。 NECは、前者の路線を取り、6倍速という高速ドライブを市場に出したのである。
 結果として、利便性を優先したトレイ式が市場のおおかたを占め、キャディ式はほとんど見かけなくなるのだが、当時はまだどちらが優勢とは判断できない状況だったので、NECのこの選択も悪くはなかったのだけど。特に、耐ノイズ性とか音質の面で考えれば、強力なサーボというのは明らかに不利なわけだし。

CD-ROM部分

 そのNEC純正CD-ROMドライブのフロント部分である。挿入口のふたを開くとキャディが排出されるという凝った作りになっていて、ギミック好きの心をくすぐる作品となっている。さらに、液晶パネルが配置され、ステータスを表示するようにもなっている。ちなみに、こいつは自己診断モードも持っているので、その結果も表示してくれるという優れものだっ!(笑)。見てのとおり、バックライトまでちゃんと備えているところもいいですなぁ。
 また、外付けドライブであるが、普通のCDプレーヤーとしても使えるように、再生/一時停止、停止/リピート、スキップといったボタンまで配置されており、ドライブ単体での使用まで考慮してくれているのである。ただ、こうやって内蔵ドライブにしてしまうと全く意味がないのは確かなんだけど(^^;)。
 まだ特色があるぞ。こいつは、そんな古い時代のドライブにも関わらず、背面にはデジタルアウトの端子までちゃんと備えているのだ。これには驚いたね。もちろん、NEC純正だから55互換ボードのNECチェックなんて関係なし。ってあれはHDDだけ意味があるんだっけ?

 このように特徴あるCD-ROMドライブを搭載できたというのが、ある意味このマシンの最も重要なアイデンティティといえるかもしれない。

REAR VIEW

 リアパネルの様子。根本的にはAsの時と変わっていないが、グラフィックアクセラレータとしてカノープスのPowerWindow928GLBを採用。チップとしては、PC-9821A-E01やAs2内蔵ボードと変わらないのだが、ディスプレイに映してみるとやっぱりキレイ。当時からカノープスのボードは定評があったが、やっぱり見比べてみると一目瞭然!さすがと言えよう。

※2005.12.11 以下、画像とコメントを追加

CPUボード表

 CPUは、ドーターボードに載っている。実際は、ドーターボードの裏側にSQFPパッケージのi486SX/33MHzがはんだ付けされている。ソケットはSocket3仕様なので、DX4ODPやPentiumODPなども載せられたはず。このため、従前のODP用ブルーソケット(Socket1)よりもピン数が多くなっている。



 Socket3となっているが、実際はODP用ソケットとして機能している。確かODPでないとi486SXと衝突するため、CPUそのものを載せる場合には細工が必要なはず。もうあまり記憶がないのだが…。


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