PC-9821シリーズの中でも名機と呼ばれるもののひとつが、このPC-9821Xvである。タワーモデルとしての拡張性や機能のバランスがとても良いあたりが、その理由だろうか。実際、PC-9821V200などのタワーモデルも使ってみたことがあるが、結局はXvの方が使い勝手が良かったり機能を実現しやすかったりすることから、手放せないマシンとなっている。 そんな名機であっても、PC-9821Ra43などの最終モデルと互して生き残るためには、パワーアップは欠かせないところである。そこで、とりあえずクロックアップの方法を載せてみようと思う。なお、今回使用したのはPC-9821Xv20/W30モデルである。 |
PC-9821XvのCPUクロックは、PCIスロット手前にある、クロックジェネレータ用PLL ICであるIC Works社のW48C60で生成されている。このICは、PC/AT互換機向けのシステムクロック生成用の機能を持っており、CPU・PCI・ISA・KEYBOARD・FDD向けのクロックを生成可能である。このうち、本機ではCPUとPCI向けのクロック生成用として利用されているようだ。 |
PLL IC部を拡大した下の写真を見ると、24/25/27/28の各Pinからはパターンがのびておらず、またダンピング抵抗もないことから、当該クロックは使用していないことはほぼ間違いないと思われる。 |
2・3番Pinにつながっている「D143M6I」と書かれているものが、PLL基準周波数発振用の水晶振動子である。11E2、11E3は負荷容量用チップコンデンサ。 |
基板を裏返してみると、水晶振動子のリード線がスルーホールではんだ付けされていることがわかる。スルーホールなので、熱を加えすぎたりしてホールが抜けるとやっかいだが、それでも回路としてはPLL ICとチップコンデンサにしかつながっていないはずなので、リカバリは難しくない。表面実装だと、それはそれで熱の加え方が難しくて面倒ではあるが。 |
スルーホールのはんだを抜くには加える熱が問題になるが、中間層につながっていない今回のケースでは、そこそこ熱を加えてやればきれいにはんだが抜ける。そこに、丸ピンICソケットの切れっ端をつけてやって、外した水晶振動子をつけて正常に動作すればOK! ちなみに、水晶振動子ではなくクロックオシレータを外す場合には、大抵スルーホールが中間層の電源層・GND層とつながっていて熱が拡散するため、多少なりとも力業を必要とすることがある。 今回のクロックアップでは、基準発振周波数を14.3MHzから15MHzに上げるというごくわずかなものにとどまっている。というのも、PCI接続しているビデオカードで表示が乱れるとか、ファイル転送に失敗するなどのデータ化けが疑われる事例が頻発したからである。このあたりは、クロックアップに強い拡張ボードを使ったり、電源ラインの昇圧でカバーできる可能性はあるものの、それほど限界は高くないと思われるのでこのあたりで終了ということで。 |
Cバススロットの下に、PC-98の心臓部である「STAR
ALPHA2」などがあるわけだが、この周辺にもPLL ICがあったりする。たぶん、こっちで残りのシステムクロックを生成していると思われる。 |