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PC-9821Xv20に関するメモあれこれ


1 セカンドキャッシュについて

 たまたまアイ・オー・データ製の512KBセカンドキャッシュ(NE-XAV512K)を入手する機会があったのでPC-9821Xv20改におけるセカンドキャッシュの効能について検証した件については、こちらのページに書いた。
 しかし、検証結果においてわずかながら512MBセカンドキャッシュの有用性が確認できたにもかかわらず、現在の構成では256KB純正セカンドキャッシュモジュール(G8WPM)を使用している。
 
 というのも、CPUアクセラレータ搭載時にセカンドキャッシュを使用していると不安定な動作をすることは有名な話であり、今回の実験においてもNE-XAV512Kを搭載している時にいくつか不都合が発生したことから、その使用を断念したためである。

 まず、NE-XAV512Kを搭載していると、システムバスのクロックアップが非常に難しくなる。マージンが少ないためだと思われるが、少々のクロックアップを行っただけでシステムエラーを吐いたりするようになる。このあたりは、SRAMやTAG RAMのスピードにも影響されるのでかなり個体差があると思うが、少なくとも今回使用したものはかなり敏感で繊細な取り扱いを必要とする感じであった。
 次に、再起動時にPCIデバイスの初期化を行う段階でハングアップするという症状が発生することを確認した。もちろん、PCIボードの種類によっては問題なく使用できることもあると思うし、電源投入時には問題が発生しないことから初期化のタイミングをいじってやれば動くと思うのだが、 PC/ATマザーのようにBIOSで設定を変更するということができないため、そのままでは回避のしようがない。

 現在のところ、標準で搭載されていた256KB純正セカンドキャッシュであれば上記のような障害は発生していないので、これを使用している。


2 FDDの増設について

 PC-9821Xvでは、標準FDDインターフェースに直接接続可能なのは3.5インチ3モードFDD1基のみとされている。一方「PC-9821Xv20/Xv13 GUIDE BOOK」(初版)によれば、ファイルベイに5インチFDD1基(PC-FD511D)が搭載可能となっている。
 少なくとも、標準FDDインターフェースに2基のドライブをつなぐこと自体は想定されているので、PC-9821Xa200等と同様にFD1231Tを2台目設定にして増設し、動作するか確認してみた。

 実際には、回転速度制御の信号線がちゃんと処理されている増設用ケーブルさえ使用すれば、2台目ドライブとして認識してくれる。従って、2ドライブ仕様にすることはハードウェアレベルでは可能なのだが、問題はマニュアルにはファイルベイに搭載する3.5インチFDDが動作する旨が記載されていない点にある。少なくとも、手元の「PC-9821Xv20/Xv13 GUIDE BOOK」では、ファイルベイに搭載できるドライブはPC-FD511Dとされており、3.5インチFDDの増設は1MB FDDインターフェースボード経由で行うことになっている。

 PC-9821Xv発売時には、すでに純正品としてPC-FD321DHがあったので接続できないはずはないと思うのだが、なぜかマニュアルにはPC-FD511Dに関する記載しかない。なんらかの障害でもあるのだろうか?

 なお、これはCPUアクセラレータ搭載による障害の可能性が高いのだが、2台目のドライブを増設していると、ごくまれに3台目の5インチドライブが存在すると誤認識されることがあることがわかった。常時出ているのなら配線ミス等も考えられるのだが、たまにしか出ないので原因がつかめていない。

 あと、上でも書いたが、本機でも1MB FDDインターフェースボード(PC-9801-87)増設による外部ドライブの増設は可能である。このインターフェースは、V30搭載時代のPC-98に標準搭載されていた1MB FDDインターフェースと互換であり、3.5インチ・5インチFDDが増設可能である。あぁ、8インチはダメね。って今さら使ってる人もいないとは思うけど。


3 Windows Updateについて

 PC-98版Windows2000において、WindowsUpdateでどうしても適用できないパッチが発生していた。それは、「Microsoft Data Access Components 2.5 Service Pack 3 用セキュリティ更新プログラム (KB927779) 」である。
 この症状はうちのマシンではもうずっと前から出ていたのだけど、パッチのダウンロードからインストールの開始までは正常に動くのだが、適用の段階でうまくいかないみたいで、更新対象アップデータとしてずっと残っていた。
 いろいろ試した結果、MDACの最新版を探してきて手動インストールした上でパッチを当ててみると何とか動くようになったのだけど、どうもPC-98版のWindows2000ってないがしろにされてるような気が。

 ついでに、「Windows 2000 用セキュリティ更新プログラム (KB931784)」というのが2007年4月10日に公開されていたのだが、これを適用すると画面表示系が原因で不安定な動作を示していた。というか、アイコン周りが壊れるというか。
 これについては、アップデータが更新されたため正常に適用できるようになったのだけど、パッチが悪いということを特定するのにだいぶ時間がかかった。


4 クロックアップの上限について

 現在、本機のCPUは約564MHzで動作している。倍速ゲタを履いているのでちょっと複雑だが、CPUから見たシステムクロックが約141MHz、チップセットから見たシステムクロックが約71MHzである。

WCPUIDの表示

 クロックジェネレータの基準発振周波数は、標準の14.3MHzから約15.22MHzに変更しているのだが、これを15.36MHz(CPU:約573MHz)に変更すると画面描画の乱れとか動作の一瞬のつまづきとかが生じるようになり、明らかにタイミングが合っていないことがわかるようになる。さらに、15.4MHz(CPU:約574.4MHz)にするとSuperPiなどでエラーが発生するようになり、15.55MHz(CPU:約580MHz)になるとミキサーデバイスの起動時にフリーズする。
 一方で、基準発振周波数を15MHz(CPU:約560MHz)にすると、ほぼ不具合もなく長期動作(連続24時間負荷試験とか)でも安定するようになる。このあたりは、どの程度のマージンを取るのか?ということになってくるので、安定志向なら15MHzとすべきかと。いや、そもそも安定志向ならクロックアップとかすべきではないんだけど(笑)。

 なお、このクロックアップはCHANPON3やGeForce5700LE、UIDE-66を搭載した上で行っているので、使用するPCIデバイスを選別すればもう少し高い周波数で動作する可能性はある。特に、CHANPON3のような複合デバイスは存在するだけで足を引っ張るようなので、クロックを上げるためには使わない方が望ましいだろう。


5 ビデオカードのクロックアップについて

 現在、GeForce5700LEを搭載していることは別ページ等にも書いているが、このビデオカードもわずかながらクロックアップを行っている。
 クロックアップのやり方自体は「PC-9821Xv20のソフトウェア設定」に書いたとおりなのだが、当時と現在とでは動作周波数の設定がかなり変更になっている。

GeForce5700LEクロックアップの様子

 というのも、システムクロックをクロックアップした影響だと思われるのだが、自動検出で設定される周波数自体がだいぶ低くなってしまい、またそれ以上に手動で設定してもベンチマークのスコアは悪くなる一方という現象が発生したのである。
 要するに、このあたりがシステム全体としていっぱいいっぱいだよということで、たぶんどこをいじっても再調整しなければならなくなるくらい、バランスを取るのが難しくなると。そろそろ行き着くところに行き着いた感じがするわけで。


6 DVD(MPEG2)デコーダについて

 PC-9821Xv+Windows2000 SP4環境下においてDVDをコマ落ちなしで見られるようにするというのは、PC-9821Xv改造の大きな目的の一つであった。その昔、Socket7マシンでいかにしてDVDをきれいに見るかということをやっていたのと同じことをやっているわけだ。もちろん、今となってはPC-98でDVDが見られるということに何の価値もないわけだが…

 これまで掲載してきた「PC-9821Xv20でPC/AT用ビデオカードを使う」とか「PC-9821Xv20のソフトウェア設定(その2)」というのはまさにそのあたりを狙って実験した結果なのだが、一方で使用するDVDプレーヤーソフトの選定なども重要であり、その経過についてはちょこっと雑感に書いたこともある。
 WinDVDやPowerDVDの各バージョンをはじめSONIC CinePlayerなど様々なソフトを使ってみたのだが、最終的にはどのソフトもGPUのDVD再生支援機能(DXVA)を利用しようとすると満足に動かないという状態になった。

 そこで、再生支援機能を使用しない状態で一番動作が軽く、しかも再生フレームレート表示が可能であったSONIC CinePlayerで設定を追い込み、最終的にGPUのDVD再生支援機能を最も有効に活用してくれるデコーダをつっこむことにした。
 ちなみに、現在の設定ではCinePlayerで26〜27fps程度のフレームレートで再生ができるくらいになっている。

 さて問題なのは、その「再生支援機能を最も有効に活用してくれるデコーダ」は何か?という点である。
 単純に考えてしまえば、nVidiaのチップをフルサポートしてくれるのはnVidiaだけであるということで、nVidia製のDVDプレーヤーソフトであるNVDVD 2.0を導入しようとしたのだが、現在はBundle版のみが配布されているらしく購入不可となっていた。

 そこで、Windows2000+DirectX9.0c+WindowsMediaPlayer9という環境に、WindowsMediaPlayer用のDVDデコーダ(有償)をインストールすることにした。nVidiaのPureVideo Decorderは、WMP10用としてMicrosoftのサイトに掲載されているが、nVidiaのサイトにおける説明には特にそのような記述はないので、デコーダとして使用する分にはWMP91でも問題なく動作するものと判断した。

 カードで決済してダウンロードしたデコーダをインストールしてみると、デコーダとして正常に動作することが確認でき、再生支援機能も働いておりコマ落ちも皆無であることが判明した。

PureVideo Decoder設定画面

 今回は、nVidiaのGPUを搭載したビデオカードとの組み合わせだったのでPureVideo Decoderを採用したが、ATIのGPUを使っている場合には当然別のデコーダの方がいいはず。

 WMPからDVD再生が可能になっていれば(DVD-Videoディスクを挿入してWMPが自動起動して再生が開始されれば)問題ないと思うが、もしWMPから再生できない場合には別途フロントエンドとなるフリーウェアを使うとよいかも。ディスクの自動再生を切っている場合も同様。

 これで、PC-98でもDVD-Video及びMPEG2がコマ落ちなしで再生できるようになったわけだが、重いMPEG1ではコマ落ちするんだな、これが…



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