1 はじめに 「それは、2009年の正月のことであった。」 これは、実は幻の20万ヒット記念更新企画の書き出しだった。今回、15周年記念企画を書くに当たって、過去のファイルをサルベージしていたらこんなのが見つかったのだ。(笑) んなわけで、実は今回の企画は20万ヒット記念企画との合作ということで、ようやく日の目を見たデータもあったりする。 では早速いってみよう! 2 SSD化への道 さて、最近はSSDによる高速化なんて当たり前という恐ろしい時代になってしまった。まぁ、誰がやっても高速化が実感できるということで、最近ではまれに見るコストパフォーマンスに優れたパワーアップ方法と言えるだろう。 というわけで、うちで現役のPC-9821Xv20/W30もSSDによる高速化の恩恵にあずかろう!と目論んでみた。 もちろん単にSSD化するのでは面白くないので、実験を含めながらではあるが。 3 第1段階SSD化 まずは、SSDの一般化以前に行われていた半導体ディスク化といえば、もちろんシリコンディスク…ではなくて(ここで言うシリコンディスクとは、PC-98時代のDRAM搭載拡張ボード形式のことね)、CFやSDメモリカードをIDE変換で使用するという手法である。当然、現在のSSDに類するような半導体ディスクも売られていたが、NANDフラッシュメモリを使用した安価なものが登場する以前は、DRAM+バッテリバックアップ等の手段で実現されていたものが多く高価であった。 そんな経緯を踏まえ、まずはCFを利用してSSD化を図ってみたい。 今回使用したのは、Centuryのシリコンディスクビルダー「CF Lite IDE」である。仕様上はUltraDMA133まで対応することから、高速なCFを使えばそれなりのSSD化が可能なはずである。 ということで、今回は256倍速タイプの8GBを使ってみた。 NTFSフォーマットの場合 FAT32フォーマットの場合 Crystal Disk Mark2.2のスコアだが、実はランダムリード4KBの時点で正常に動作しなくなるために計測が終了していない。異様に処理に時間がかかっているように見えるのだが… 結果からは、NTFSでもFAT32でもあまり数値に違いがないことがわかる。そして、256倍速CFではSSDとして使用するにはちょっと遅いということも。CF本体の転送速度がボトルネックとなっていると思われるので、やっぱり512倍速くらいはないとだめかな? そういえば、比較するためのHDDでのデータを示していなかった。 Seagate ST3160812Aの場合 こうしてみると、HDDでも結構いい数値だしてるなぁ(笑)。ちなみに、今回は、すべてWindows2000環境下でUIDE-133+UIDE-66ドライバを使用した場合の数値である。 |
4 第2段階SSD化 ここまでは前座である。本気なのはここからである。てなわけで、IDE接続のSSDを用意してみた。 トランセンド TS32GSSD25-M 安くて容易に入手できるということで、トランセンドのSSDを選択。ただし、コントローラはあのJMicron JMF602搭載ということで、プチフリ発生の可能性は非常に高い。ただし、ベンチマーク程度しか使用していないためイレース動作に入ることはあまりないと思われるので、今回の測定にはあまり影響はないだろう。 TS32GSSD25-Mの場合 シーケンシャルリードの値が66MB/sを超えており、インターフェースとしてはUltraATA133の速度を発揮していることが確認できた。シーケンシャルライトの数値以外はHDDを上回っており、SSD化すれば高速化できることは間違いない。特に、ランダムリードの値はHDDでは実現できない値であり、実使用上での体感に大きく影響しそうである。 5 PATA接続の検証 さて、SSDでの高速化は実証できたわけだが、本来のSSDの実力から言えばもっと速度が出ていいはずである。今回は、UIDE-133を使用している関係でIDE(PATA)接続のSSDを使用しているわけだが、もしSATA接続のSSDであればより高速な動作が期待できるはず。この制限(というかボトルネック)がどこにあるのか検証してみたい。 今回登場するのは、同じトランセンドのTS64GSSD25S-Mである。 トランセンド TS64GSSD25S-M TS32GSSD25-Mと同じラインナップの64GB SATA接続のSSDである。もちろんコントローラはJMicorn JMF602。 これを、SATA-PATA変換アダプタを使ってUIDE-133につないでみたい。 TS64GSSD25S-M+SATA-PATA変換アダプタの場合 結果は、TS32GSSD25-Mの場合とほぼ同じである。TS64GSSD25S-MをPC/AT互換機のSATA端子に直接つないでベンチマークを取るともっと良い数値を出すので、やはりSSD側かUIDE-133側のIDE部分にボトルネックがあるようだ。 |
6 さらなる高速化の模索 SSD化によって高速化が実現することは判明したが、もっと高速化することはできないものかと考えた。よくある手段は、SSD2台を使用したRAID化である。それをPC-98で実現するにはどうするか? ということで、今回はRAIDユニットを用意してみた。 DIRAC DIR-2221-SRAIDE DIRACのDIR-2221-SRAIDEは、2.5インチサイズSATA HDD/SSDを2基搭載可能なHDD/SDD ケースである。大きさは3.5インチHDDサイズと同等となっている。このケースの特徴は、RAIDコントローラを搭載しており2基のHDD/SDDをRAID0/1/JBOD等に設定できることにある。背面には、3.5インチSATA HDDと同じ位置にSATAインターフェースを備えている。 これに、トランセンドのTS64GSSD25S-Mを2基搭載し、RAID0に設定しPC-98につないでみた。 同一機種ではあるが、購入時期が違うのでシリアルナンバーがかなり違う。 ちなみに、このRAIDユニットをPC/AT互換機マザーにつないでみるとこんな感じ。 さすがRAIDですな。UltraATA133では、もはやそのスペックのすべてを発揮させることはできなさそうだ。 それでは、PC-9821Xv20につないでみる。 SATAのRAIDユニットにSATA-PATA変換カードを接続しているので、こんな格好に(笑) うーむむむ。読み込みは半分以下の速度になってるなぁ。書き込みもかなり抑えられてしまっている。このあたりがPATA経由の限界か? そして、SSD単体をつないだときと較べてみると、読み込みは少し遅くなり、書き込みは少し速くなっている。ランダムアクセスの4KBでも同様の傾向を示しているので、RAID化は書き込みに対して結構有効な高速化と判断できる。SSDの長寿命化という点ではあまり良くないかもしれないが、OSのページングファイルや大規模アプリケーションの一時作業ファイルなどの置き場に向いていそうなので、全体の使用感はかなり向上するのではないだろうか? |
7 最終SSD化 ここまで、様々なSSD化の方法を試してきたのだが、とりあえずバランス良く最速化できるのはRAIDユニットを使用したときだということは確認できた。しかし、UIDE-133+PATA-SATA変換アダプタ+RAIDユニット+SATASSD×2という構成は、さすがにいかがなものかと思うのだ。ほとんど使用していないマシンにそこまでの装備が必要なものなのか? そこで原点に立ち返り、単純なSSD化を目指すことにした。用意したのは、CFD販売のCSSD-PHM32WJ2である。 プチフリ対策が行われたとされるJMicronのJMF612を採用したPATA接続SSDである。スペックは以下のとおり。 SATA接続のSSDと較べるとかなり遅いが、PATA接続としては並ってところだろう。これを、実際にPC-9821Xv20につないでみる。果たして… うむむむ、なんか普通?もちろん、ランダムアクセスの高速性は特筆すべきものがあるのだが、読み込み・書き込みともHDD並みに見える。 念のため、SiSoftware Sandra2005のベンチマークも載せておく。 やはり、ランダムアクセスの高速性は特筆すべきだが、全体性能としてみるとHDDのRAIDと同等ってところか。 ※2012.01.02追記 HDDのSiSoftware Sandra2005のベンチマークデータが発掘されたので載せてみる。 バッファリードやシーケンシャルリードはHDDの方が速いぞ(笑)。ランダムリードはさすがにSSDの方が速いが。こうなってくると、RAIDユニットの使用も再考しなけりゃならんか? 8 そしてこんな結果に 現状、投資効果やプチフリ対策等も含めて検討した結果、CSSD-PHM32WJ2によるSSD化を最終結論としている。これは、高速化を極めるというよりは、HDDの経年劣化対策として半導体ディスク化を行うという面を重視している。単に最高速を目指すのであれば、最新SATA SSD×2基+RAIDユニットを使用してやればよいという結論なわけで。 参考までに、HDBENCHの値を載せておく。 ★ ★ ★ HDBENCH Ver 3.40 beta 6 (C)EP82改/かず ★ ★ ★あれ?PC-98NXのALLの値と遜色ないような気が…(笑) ※2012.01.02追記 PC98-NXのHDBENCHの値を取ってみたので掲載。 追いついてはいないけど、結構近い値になってるんでないかい?特に、PC98-NXの方がWindowsMe環境下であることを考えると、ほぼ同等と見てもいいような気がする。 |