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内蔵ATAPIデバイスの外付け化(PC-VS26DS7DA2編)


※まず最初に書いておきますが、私はこの方法をあまりお薦めしません。様々な障害が発生する可能性があり、コストの割に報われない可能性があります。どうしてもやってみたいとか、それなりのメリットを見つけられる方のみ参考としてください。
 はっきり言って、USB2.0もしくはIEEE1394による増設の方がはるかにスマートです!

 メリットのあるパターンとしては、WindowsNT4.0などUSB非サポートのOSを使用する場合でも、インターフェースを増設することなくドライブを外付け化することができたりします。NT4.0のServicePack4以降ではDVD-ROMドライブがサポートされているので、そのようなドライブを増設する時などには有効でしょう。
 あと、1本のケーブルで電源も供給できるので、別に電源コードがいらないというのも多少はメリットになりそう。


 デスクトップ型PCであるPC-VS26DS7DA2は、当然のことながらドライブベイの数が少ない。5インチベイは1つしか付いていないため、標準のCD-ROMドライブで埋まってしまい増設なんてできやしない。
 ま、普通はこのCD-ROMドライブを取り外してDVD-ROM/CD-R/CD-RWコンボドライブなぞに載せ替えるわけだが、どうしても2台のドライブをつなぎたいという場合がある。
 そこで、今回は無理矢理IDEコネクタからケーブルを外に引きずり出してドライブをつなげてみようと思う。

 まずは、IDEケーブルの引き出し方である。このマシンの背面パネルで利用できそうなところというと、拡張スロットの最上段とディスプレイコネクタの上側である。
リアパネル

 これはリアパネルの様子だが、右端の四角に穴が開いているように見えるところ(ディスプレイコネクタやらパラレルコネクタの上の方)が、AGP拡張スロット搭載モデルの場合にディスプレイコネクタが付くところらしい。このモデルでは使用されていないためにふたがされている。
 一方、拡張スロットの最上段だが、ここも空いている。写真ではすでにコネクタが取り付けられているが、このモデルではPCIカードは3枚までしか増設できないため、もともと最上段はカバーだけが付いている。
 今回は、写真のとおり最上段にSCSI用コネクタを取り付けることで、ケーブルの引き出しを行った。

 次に、ドライブユニット側である。
 外付けにするデバイスは、SONY製DVD-ROMドライブのDDU-220Eである。私が一番最初に買ったDVD-ROMドライブなのだが、いまだに手放せないでいる(リージョンフリーだったりするから…)。そして、ドライブを入れるケースには、某ショップで購入した5インチデバイス用外付けケースを使用した。このケースが存在したがために今回の企画が成立したといっても過言ではないというシロモノである。
ドライブケースTOP VIEW

 このケース、本当にドライブを囲うだけ!って感じのトランスルーセントなもので、変換基板とかが入っているわけじゃないし、電源ユニットも積んでいない。大体、そんなスペースは全くない。背面を見てみると、こんな感じ。
ドライブユニット背面

 排気ファンとフルピッチセントロニクス50Pinのコネクタが付いているだけ(右下の3.5mmジャックは、音声出力用に私が取り付けたもの)。これで「IDEドライブ外付用ケース」として売ってるんだからすごいよなぁ。普通はどうやって使うんでしょ?リムーバムルケースならまだしも…。

 で、このピン配置を調べていくと、ものの見事にIDE配列のまま。ただし、+12Vで2本、+5Vで2本、GNDで4本のピンを使用しており、1本のケーブルで電源まで供給する仕様のようだ。たぶんIDE用リムーバムルユニットと同じコネクタ、ピン配置と思われる。コネクタからドライブまでのケーブルは、80PinのUltraATA66仕様ケーブルが使用されており、ある程度の耐ノイズ性が考慮されているように思える。排気ファンは+12Vラインから電源が供給されている。

 コネクタにセントロニクス50Pinが使用されているということで思い浮かんだのが、「SCSI関係のケーブルが流用できる!」ってことで、上に書いたように本体側にもハーフピッチセントロニクス50Pinのコネクタを用意したわけである。

 では、その本体側コネクタ周辺を見てみよう。
本体側コネクタ詳細1

 これは実験時の様子だが、市販の拡張スロット取り付け用外部SCSIコネクタを流用し、40pin分はそのままIDEケーブルを取り付け、8pin分の電源部にはケーブルを半田づけしてある。電源もケーブル長が長くなるため、ノイズフィルタ搭載のものを使用している。IDE部と電源部の間に2pin分の間隔があるのは、外付けケースと同じ仕様。

 実験時の本体内部の全景は以下のとおり。
内部の様子(実験時)

 この時は、プライマリIDEのマスタにHDDを、スレーブにPD/CD-Rドライブを取り付け、セカンダリIDEからケーブルを引っ張っている。

 この拡張スロットに取り付けたコネクタからドライブユニットまでは、高品質なケーブルを使用する必要がある。ただでさえ、規格よりも長くケーブルを引き回すことになる上に、内蔵のユニットを外付けしようというのだから、耐ノイズ性向上対策はやってやりすぎということはない。

 私は、UltraSCSI用のハイインピーダンスケーブル(特性インピーダンス100Ω+-10Ω)を使用している。これは、インピーダンスが明示されているだけでなく、アルミシールド+高密度銅編み組シールドの2重シールド構造をとっており、コネクタ部もシールドされているなどインピーダンスの乱れを最小限に抑えるような構造となっている。
 ただし、SCSIケーブルを使ってもインピーダンスのミスマッチングは発生するので注意。もともとIDEインターフェースはフラットケーブルの仕様を想定しているので、100Ωといったインピーダンスのケーブルは規格外である。今回は、あえて正体不明のケーブルを使うよりは、ちゃんとしたSCSIケーブルの方が"まだまし"ってことで使っているだけである。

 それから、ケーブル長は最小限度にすること。規格上は457.20mmというケーブル長のところを、倍以上は引きずり回すので、信号の乱れが大きくなり予想外のトラブルが発生することになる。実際のところは、市販のUltraATA66/100対応ケーブルでも80cm長ぐらいまではあることを考えれば、そうムチャクチャな長さではないとも思うのだが。
 で、このまま使おうかとも思ったのだが、玄人志向のCHANPON2ボードを導入したこともあって、さらなる改善を図ってみることにした。
本体側コネクタ詳細2

 拡張ボードのATA100インターフェースからUltraATA100用の80Pinフラットケーブルで拡張コネクタを結んでみた。これでケーブル長がわずかながら短縮され、さらにインピーダンス面でも安定するはずである。
 っていうか、このボードにはUSB2.0やIEEE1394が搭載されているので、ボードを積んだ時点でわざわざIDEコネクタを外に引きずり出す必要性が激減したわけなんだけど…。ま、あとは勢いってことで。
内部の様子(最終版)

 現在は写真とは異なり、外部に引き出すポートは本体のUltraDMA33対応IDEコネクタのセカンダリポートを使用している。内部接続ケーブルは、40PinのIDE用のものを使用。外部接続用のSCSIケーブルは、やはりハイインピーダンス仕様の50cmのものとしている。
 東芝のSD-M1612を接続して行ったテストでは、最大7200KB/s(CAV)の転送速度を出すCD-ROMメディアの読みとりで特にエラーの発生等はない模様。逆に、内蔵しているODX658(NEC)よりも安定して動いているくらいである。

 現時点では、ケーブルの総延長がおよそ1mとなっているが、安定動作しているように見えるので特に問題はないかと思う。試みにHDDをつなげてみた時も動作は正常だったし。ということで、ケーブル長の目安は1mということにしておく。ただし、これはドライブによっても変わってくるので、それぞれの環境下で確認が必要である。
 内部の様子は、PC-VS26DS7DA2改造のメニューページに載せておくので、そこを参照して欲しい。もう見てもわかりにくくて参考にはならんと思うけど。

 なお、直接関係はないのだが、本体マザーのプライマリポートを空けてしまうと、シャットダウン時にHDDがうまく終了しないとか、セカンダリにつないでいるデバイスが認識されないなどといった症状が出ることがある。よって、ATAボードを増設するときには本体マザーのプライマリに何かぶら下げるか、BIOSで内蔵IDEを使用しないようにする必要が生じるかもしれない。




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