ThinkPad535には内蔵HDD用にE-IDEコネクタが1個装備されています。普通はHDDをそのままつないで使っているわけですが、IDEコネクタなら規格上「マスタ−スレーブ」と2つのデバイスをつなぐことが可能なはずです。 そこで、なんとかして2つのデバイスをIDEコネクタにつないでしまおうというのが、このコーナーの目的です。 もともと、PC-9821Ldを改造していたときにセカンドコネクタ(正確にはプライマリスレーブ用)を増設した経験があった(PC-9821Ld改造参照)ので、成功の可能性が高いと踏んでおり、ほぼ同じようなアプローチを取ることにしました。 まずは内蔵IDEコネクタを外に引きずり出すことからはじめます。内蔵のままでは2.5インチ12.7mm厚HDD1基しか装備できないので、そもそも実験の目的を果たせませんからねぇ。このコネクタ延長のために作ったのが「2.5−3.5IDEコネクタ変換基板」です。 左側がThinkPad内に差し込む2.5インチIDEインターフェースで、右側の水色のコネクタが標準の3.5インチIDEコネクタとなっています。その間は39本のラッピングワイヤと2本のより線で単純に配線してあるだけです。2.5インチインターフェースは電源(+5V)の配線も含まれていますが、3.5インチインターフェースでは電源は別系統なので、基板から別途DCコネクタを出しています。これにより、3.5インチIDEコネクタを有し+5Vのみで動作するデバイスは直結できます。また、2.5インチIDEコネクタを有するデバイスの場合には、再度「3.5−2.5変換コネクタ」(市販あり)を利用して接続することが可能です。(2.5インチHDDを接続したのが下の写真) +5V/+12Vのデュアル電源を必要とするデバイスの場合には、別途電源を用意することによって動作させることが可能です。 |
さて、続いていよいよマスタ−スレーブ接続による2デバイス搭載実験です。実験には2.5インチHDDを2基使用。電源は本体側のものを利用し、分岐ケーブルで供給します。接続した様子が下の写真です。 右側のHDDをマスタ設定、左側のドライブをスレーブ設定としています。左側のドライブにも「3.5−2.5変換コネクタ」を使用していますが、これは自作のものです。この状況で消費電流は1.2A前後となり、設計上の消費電流を上回っていると考えられますが、とりあえず動作しています。 さて、この状態でシステムはどう認識しているかというと・・・ FDISKではしっかりと2ドライブ分認識してくれています。もちろん、論理ドライブとして領域も確保でき、FORMATもかけることができました。ということで目標は無事達成! とここで終わりたかったのですが、この状態でWindows98のシステムを起動すると極端に動作が遅くなるのです。システム的にはまったく異常はないのですが、HDDのデータ転送に時間が異様にかかっているようです。これはシングルドライブ設定にしても発生する症状なので、変換基板が原因としか考えられないわけです。アルミテープによるシールド強化、HDD外装とPC本体とをケーブルで直結することによる共通インピーダンスの低下などいくつかの対策を行いましたが、根本的な解決には至りませんでした。 この症状の発生する要因は以下のようなものではないかと推定しています。 1 内蔵コネクタは基板・HDD直結のため、設計上ケーブル長について考慮されていない可能性が高い。そのため、バスバッファなどが弱いのではないか? 2 HDDを内蔵させた場合は筐体によるシールド効果があるが、外付の場合それがないため、GNDラインが弱い。このためバス上の信号が安定しない。 3 変換基板上でケーブルをひねっており、信号ライン同士でクロストークが発生している可能性が高い。ツイストペアにでもしたら症状が改善するか? 実は、最終目標は 追加(1999.06.27) その後の調査で、電源ラインに問題がある可能性が判明しました。が…その対策は取っていません。もし、またばらすことがあればその時にでもやるつもりです。 |